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freee会計は使いにくい?使用歴5年の税理士がレビューします

滋賀県草津市で創業50年以上の税理士事務所、増井・阪口税理士事務所の代表税理士 阪口倫造(さかぐち みちぞう)です。

こちらの記事では、「freeeが使いづらいって聞いたんだけど、どうなの?」という方のために、

freee会計(以下「freee」とします)は本当に使いにくいのか、を解説いたします。

ちなみに弊所ではfreeeで自社会計を行っており、また、複数のお客様にfreeeを御導入いただいております。freeeのプランはスターター、スタンダート、プレミアムを使ったことがあり、まだまだ熟練とは言えませんが、使い始めて5年が経ちますので、それなりに操作には慣れてきました。

一部の人から、「freeeは使いづらい」「freeeを使うと会計がガチャガチャになる」と言った声を聞くことがありますが、確かにそうだなと思うところもありますので、

・freeeは実際に使いづらいサービスなのか?

・freeeを使いづらいと感じる人の特徴

・freeeを使うのに向いている人、向いていない人

などを(独断と偏見で)解説いたします。

freeeが使いにくいと言われるのは何故?

まず、freeeが使いにくいと言われる理由と、どういった人がfreeeを使いにくいと言っているかをご説明いたします。

freeeを使いにくいと言っているのは、多くは税務・会計の業界で会計に慣れ親しんでいるプロの方々です。

インストール型の会計ソフトへの仕訳入力に慣れている方からすると、freeeの取引の登録方法は独特で、とっつきにくいものとなっているように思います。

また、freeeの主な取引の登録方法である「自動で経理」で取引を登録すると、それがどのような仕訳で登録されたかすぐには確認できない仕様になっており、こちらも何となく使いにくいと感じる要因につながっているのだと思います。

さらに、freeeには様々な取引の登録方法があり、こちらは運用方法によっては大きなメリットになりますが、freeeをこれから始めようとする人には親切な設計とは言えません。登録方法がたくさんあることから、経理事務の効率的なフローを構築するのが難しいです。特に、会計の知識が少ない方が正確で効率的なフローを構築するのは無理だと言っても過言ではないと思います。freeeによる自動化会計を整備するためにはITに強い専門家のサポートが必須です。

freeeは「簿記の知識がなくても会計ができる♪」をサービスの基本コンセプトにしていますが、会計をまったく知らない人が使うと、確かに仕訳の登録自体はサクサクと進む(進んでいるように感じる)かもしれませんが、現金残高がマイナスになったり、まったく適正でない勘定科目が設定されたり、総勘定元帳にしたときに摘要欄への記載がないことから取引内容がまったく分からないことになったり、決算整理仕訳が抜けていたり、など、正確とは程遠いお帳面が出来上がってしまうリスクがあるように感じます。

freeeが使いにくいと言われる理由としては、上記のように、会計のプロでも取っつきにくさを感じるUIと仕組みであったり、会計の知識がない人が使ってみてよく分からない決算になった、などが挙げられます。

freeeを使うメリットとデメリット

次に、freeeを使うメリットとデメリットとは何かをご説明いたします。

メリット

・月額費用が安い

・無料トライアルがあるので事前にお試しができる

・経営の数字がリアルタイムで見られる

・クラウドサービスのため、いつでも、どこでも経営の数字を見ることができ、また、仕訳の追加・修正等が可能

・税理士との連携が取りやすい

・電子帳簿保存法への対応も可能

・スマホアプリでの操作が可能

・freee上で請求書等の発行・管理が行える

・安価な割に多機能で高性能

デメリット

・習熟に時間がかかる

・会計知識がない人がプロの手を借りずに正しく会計を行うのはほぼ無理

・サブスクサービスのため、ずっと費用がかかり続ける

・仕訳の修正に時間がかかる

・クラウドサービスのため、インターネットの接続がないと使えない

・クラウドサービスのため、セキュリティに不安が残る

・多機能すぎて、機能を最大限に活かすのが難しい

・経理事務のフローを整えるのが大変。最適解を見つけるのが難しい

・ページの切替でいちいち通信が入るため、サクサク動かせない

メリット、デメリットは以上となります。

freeeは安価で多機能・高性能な素晴らしいサービスですが、ある程度の会計の知識とITリテラシーがないと使いこなすのは難しいと思います。ただ、操作に慣れ、自動化のための設定を進めていくと、取引の登録のスピードがどんどん早くなっていきます。使いこなすことができれば、経理事務の負担はかなり軽減できます。

freeeを使うのに向いている人

では、上記を踏まえて、どういった方がfreeeを使うのに向いているのかといいますと

・クラウドサービスの利用に慣れている方

・簿記、会計の知識がそれなり(日商簿記3級程度)にある方

・できるだけお金をかけずに会計を進めたい方

・会計関連の資料を全てデータ化して一箇所に集めたい方

だと思います。

日商簿記1級を持っている、税理士試験の簿記論を持っている、という方でしたら、専門家のサポートなしにfreeeを使いこなすことができるかもしれませんが、そうでない場合は、freeeの取引登録の精度に自信がおありの場合でも、念のため、決算の時だけでも税理士等のチェックを受けることをオススメいたします。

freeeを使うのに向いていない人

逆に、freeeを使うのに向いていない方は、

・振替伝票形式での仕訳入力をしたい方

・直感的に操作できる分かりやすいUIがお好みの方

・パソコンの操作が苦手な方

・セキュリティが気になる方

・簿記、会計の知識が乏しい方

です。

freeeは使いこなせたら経理事務が非常に効率的になりますが、使いこなすにはある程度の簿記会計の知識が必須で、また、ITリテラシーも求められるため、使う人を選ぶサービスだと思います。

まとめ

こちらの記事ではfreeeの使いにくさ、frreeが向いている人、向いていない人などにつきまして解説いたしました。

今回はfreeeの悪い点につきましても色々と書きましたが、個人的にはとても良いサービスだと思っております。

ただ、前述しました通り、合う合わないがあるサービスですので、

どうしても使いにくい場合は、マネーフォワードや弥生会計などの他の会計ソフト・サービスのご利用をご検討されても良いかと思います。