Scroll Top

freeeが「ぐちゃぐちゃfreee」になってしまう原因と対策

滋賀県草津市で創業50年以上の税理士事務所を営む税理士の阪口倫造(さかぐち みちぞう)と申します。

freee会計は使いこなせば大変便利ですが、使い方を間違えると、現金残高がマイナスになったり、売掛金や未払金が増え続けたり、などわけの分からないお帳面が出来上がってしまいます。わけが分からなくなり、そして元に戻せなくなってしまったfreee会計のことを、業界では「ぐちゃぐちゃfreee」と呼ぶ人もいますが、今回は、freeeが「ぐちゃぐちゃfreee」になってしまう原因と、「ぐちゃぐちゃfreee」にならないようにするための対策について解説したいと思います。

「ぐちゃぐちゃfreee」になってしまう原因

「ぐちゃぐちゃfreee」になってしまうのは、freee会計の取引登録の方法がたくさんあるからです。

たくさんの取引登録の方法があるため、取引登録のルール化ができていない場合は、「ぐちゃぐちゃfreee」になりやすいです。

特に、簿記の知識がない方がテキトーに取引の登録をすると、各科目の残高がありえない金額になる等、実態とかけ離れた会計帳簿が出来上がってしまう可能性が高くなります。

例えば、役員が立て替えた会社の費用(役員借入金として計上するべきもの)のレシートを、ファイルアップロードから取引の登録をしようとすると、決済方法(相手科目)がデフォルトでは「現金」が選択されており、そのまま取引の登録をすると、「××(費用科目) / 現金」と仕訳が切られ、本当は会社の現金が減っていないのに、会社の現金が減ったことになってしまいます。

また、freeeに連携済みの会社のクレジットカードで決済したレシートを、「自動で経理」で登録した取引の証憑資料として紐づける処理をせず、ファイルアップロードから取引の登録をすると、「自動で経理」から登録した取引と2重で取引が計上されてしまい、経費の過大計上等が発生してしまいます。また、こちらの登録を現金決済として登録すると、現金が余計に減ってしまい、現金残高が実際と合わなくなり、マイナス残高になつる可能性もあります。

上記は一例ですが、気を付けないと一つの取引に対して複数の仕訳が計上されたり、売掛金や未払金などの消込が行われなかったりなど、正しい会計ができなくなるきっかけとなる要素が他にもいくつかあります。

freeeは「簿記の知識がなくても会計ができる♪」と謳っていますが、freeeで会計を進める場合は日商簿記3級程度の知識は必須だと思います。

「ぐちゃぐちゃfreee」にならないための対策

「ぐちゃぐちゃfreee」にならないようにするには、会社の取引に関する事務処理の流れと、freeeの登録方法を定型化・ルール化することです。

例えば、レシートの管理方法としては、会社の現金で買ったものと、役員が立て替えたもの、クレカ等の決済を分け、freeeの登録時には、そのそれぞれ分けたものを、会社の現金決済のものは連続取引登録の現金決済でまとめて登録し、役員が立て替えたものは連続取引登録の役員資金としてまとめて登録し、クレカ等のfreeeの「自動で経理」で認識される決済については先に「自動で経理」で取引を登録して後からまとめて証憑資料の紐づけを行う、などです。このように、モノ・サービスを買ってレシートを受け取った、という取引だけでも、上記のようにルール決めをしないと、freee上のお帳面が訳の分からないことになってしまいます。

取引ごとの事務処理の流れと、freeeの登録方法の定型化・ルール化については簿記の知識が必須になりますので、freeeで会計をちゃんとしていこうとする場合は、ご自身で簿記の勉強をされる、簿記に明るい方を雇う、freee導入支援を受ける、税理士と顧問契約を結ぶ、などの選択肢が考えられますが、事業の立ち上げ当初は人件費をあまりかけることができないと思いますので、おススメの方法としては、ご自身で簿記の勉強をされつつ、税理士等によるfreee導入支援を受けられるのが宜しいかと思います。

税理士に記帳代行を依頼すると月々の料金が高くなってしまいますが、会計をご自身でつけられる場合は顧問料を安く抑えることができます。事業が成長すれば、いずれは事務・経理の方を雇われることになるかと思います。その際に、社長自らがfreeeに関する業務フローを従業員に説明・指導できるように、また、月次決算の数字から色々なことを読み取れるようになるために、今のうちに簿記を勉強されておかれはいかがかと思います。