Scroll Top

同族後継者が事業を引き継いで最初にやるべきことと、中小企業における「経営」について

滋賀県草津市で税理士業を営む税理士の阪口倫造と申します。

今回は、家族経営の会社の後継者が、事業を引き継いでから最初にやるべきことと、中小企業における「経営」の正しい認識について、創業50年以上続く祖父の税理士事務所を引き継いだ私の経験を踏まえつつお話したいと思います。

従業員と信頼関係を構築する

まず、従業員との信頼関係を構築する必要があります。

なぜなら、会社が存続できるのは、従業員が働いてくれているからです。全従業員が同時に仕事を放棄すれば、会社は当然に回らなくなり、たちまち倒産してしまいます。事業を引き継いだら、まっさきに、従業員のハートを掴みにいきましょう。

大前提、従業員は、まだあなたに対して、ポジティブな印象は持っていません。どちらかというと、ネガティブな思いを持たれている可能性の方が高いです。そりゃ当然です。あなたは、先代の息子娘として生まれたから、この会社を継いだのですから。周りから見れば、楽して富と地位を手にしたようにしか見えません。「楽して社長になれていいな。」「ボンボンに従うの嫌だな・・・」「頼りなさそう。この会社にいて大丈夫か?」などと思われていることでしょう。

皆大人ですから、表面的には、あなたに対して優しく、楽しげに振舞ってくれるかもしれませんが、

それは、後継者として認められたというわけではありません。

あなたはここで、その表面的なフレンドリーさに惑わされず、

従業員一人一人と確かな関係を築いていかなければなりません。

従業員の信頼を勝ち取るには現場業務一択

では、従業員との信頼関係を構築するにはどうしたらいいか。

それは、とにかく仕事を頑張ることです。

平成後期から令和以降は、根性論は是とされにくくなりましたが(一部界隈では”ゾス”文化が再流行していますが)、

皆、やはり頑張る若者は好きです。

経営者になったからといって、楽をしようとしてはいけません。経営者だからこそ、最前線で戦う姿勢が重要です。

ここでいう、仕事とは、経営の仕事ではありません。

見出しにもあるように、現場業務のことをいいます。

つまり、従業員がしてくれている業務を、自分がやるということです。従業員に付いて回り、教えを乞い、それをできるようにする。会社の業務をひとつずつ丁寧に覚えていき、必要な場所・タイミングで必要な分だけヘルプに回りつつ、空き時間で営業に出て数字を作りにいく、という立ち回りが、事業引継ぎ直後は望ましいです。

私は祖父から税理士事務所を引き継いだ直後、失敗しました。

それは、事業を引き継いだ直後から、「経営」をしようとしたことです。

会社全体のことが分かっていない、見えていないのに、会社の重要な意思決定ができるはずがない。なのに、それをしようとしてしまいました。また、これが経営者の立ち回りだと思い込んで、従業員に(今から思えば)無意味な指示や指導をしてしまいました。さらに、本当に必要かどうか吟味しきれていないシステム(一応は今でも使ってる…)を導入したりなど、ひどかったですね。これでは、会社が良い方向に進むわけありません。従業員の心がついてくるはずありません。

「経営」は、会社全体のことが見えていない内はできません。ポーズとしての経営はできるかもしれませんが、それでは経営ごっこになってしまいます。

まずは会社全体を知ること。そして、従業員と心を通わせること。

それができて初めて経営を行うことができると思います。

中小企業の業績は社長のやる気次第

中小企業の社長は、何でも屋です。

営業に出て集客もするし、採用の募集も採用面接もするし、従業員への指導教育もする。社内の業務フローの整備・マニュアル作成に、資金繰り計画・設備投資計画の策定、中期計画書の作成など。ありとあらゆることをします。

いわゆる「経営」業務は、会社の大きな意思決定を指すことになりますが、中小企業における「経営」業務は、実際のところは何でもすることを意味します。

そのため、中小企業の業績が伸びるかどうかは、

すべて、社長のやる気にかかっています。

すべて、社長の頑張り次第です。

重要なことなので2度同じような言葉を繰り返しました。

私自身の経験と、そして、私と顧問契約を結んでいただいているたくさんのお客様を見ていて、確信しています。中小企業の業績は社長のやる気次第でどうにでもなります。

会社の停滞を自分のせいにできるか

逆に言うと、会社が伸びていない、調子が悪いのなら、

それは社長のせいです。

経済の状況等、言い訳にしたいことは山ほどあると思いますが、

それでも、社長のせいです。

その中でどう戦っていくかを、常日頃から頭がふやけるまで考え、煮詰め、

PDCAサイクルを回し続けることが重要です。

会社の未来も、従業員の未来も、あなたにかかっています。

全てを背負った上で、会社を盛り上げていきましょう。

まとめ

今回は、同族会社の後継者が事業を引き継いだらまっさきに何をするべきか、そして、中小企業の「経営」とは、というお話をしました。

事業の引継ぎ後は、まずは会社を存続させてくれている従業員との信頼関係の構築が急務です。その信頼関係の構築方法は、現場に立って、従業員とコミュニケーションを取りつつ、会社全体の業務をひとつひとつ覚えていくことです。そして隙間時間を使って、営業に出て売上を上げたり、経営の勉強をしましょう。要は、会社に全てを捧げるということです。

中小企業の経営者は何でも屋です。会社運営に関するほとんどすべてのことに取り組みます。そのため、会社の業績は、社長のやる気次第で変わります。頑張れば伸びます。停滞しているなら、社長がコミットしていない証拠です。従業員は頑張る社長についていきます。社長が売上を作れば、従業員も結果を出そうとします。中小企業の成功は、社長がどれだけ「気負えるか」にかかっていると思います。

私は後継者経営者の税理士のため、後継者の悩みには共感でき、また、解決策も考えられると思います。弊所は、経営者と会社の問題を解決させつつ成長させていく、伴走型の税務顧問サービスを提供しております。全国対応しておりますので、興味があれば是非お問い合わせください。